このたび、当社が創薬研究を進めているCRHR2拮抗薬~{※}(化合物コード:RQ-00490721)に関する論文(以下「本論文」)がBiomedicine & Pharmacotherapy誌に掲載されましたので、お知らせいたします。

本論文は、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下「名古屋大学」)大学院医学系研究科循環器内科学の竹藤幹人講師らの研究グループと当社が実施した共同研究(以下「本共同研究」)の成果に基づくものです。竹藤講師らの研究グループと当社は、2019年11月に米国フィラデルフィアで開催された米国心臓協会学術集会において、CRHR2拮抗薬に関する研究成果を共同でポスター発表しました。その際の発表内容に新たな実験データを加え、専門家の査読を経て今回の論文発表に至りました。

本論文のポイント:

  • 既存の慢性心不全の治療法では医療ニーズが満たされておらず、新たな治療薬が求められている。
  • 新規メカニズムの心不全治療薬開発に向けて、経口投与可能なCRHR2阻害剤であるRQ-00490721を見出した。
  • RQ-00490721は長期間の経口投与が可能で、マウスの心不全モデルで薬効を示した。
  • CRHR2を標的とした経口型治療薬が、将来新たな心不全の治療オプションとなる可能性が示唆された。

現在、当社は前臨床段階への移行を目指し、RQ-00490721をはじめとする一連の化合物を用いた創薬研究を進めております。当社は今後も、本創薬研究プログラムの更なる価値向上に努めるとともに、当社発の新薬の一刻も早い上市による医療への貢献を目指してまいります。

<ご参考>
本論文および発表内容の詳細につきましては、名古屋大学と当社の共同プレスリリースもあわせてご参照ください。

〔今回の発表論文〕
今回発表された論文は以下のとおりです(オープンアクセス論文)。
https://doi.org/10.1016/j.biopha.2021.112566
Yu Mori, Ayako Tsuchihira, Tatsuya Yoshida, Satoya Yoshida, Akiyoshi Fujiuchi, Masashi Omi, Yumi Isogai, , Teruhiro Sakaguchi, Shunsuke Eguchi, Takuma Tsuda, Katsuhiro Kato, Koji Ohashi, Noriyuki Ouchi, Hyi-Man Park, Toyoaki Murohara, Mikito Takefuji.
"Corticotropin releasing hormone receptor 2 antagonist, RQ-00490721, for the prevention of pressure overload-induced cardiac dysfunction"
Biomedicine & Pharmacotherapy, 146(1), 112566 (2022).
doi.org/10.1016/j.biopha.2021.112566

※CRHR2拮抗薬について
CRHR2(正式名称:corticotrophin-releasing hormone receptor 2(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン受容体2))はGタンパク質共役型受容体の1つであり、名古屋大学の竹藤講師らにより、心不全発症への関与に関する報告がなされています。