当社は、この度、名古屋大学大学院医学系研究科生物化学講座分子生物学(門松健治教授、坂元一真助教、以下「生物化学講座分子生物学」)と「神経再生を指向した特定の酵素選択的阻害剤の探索」に関する共同研究契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。


中枢神経は傷害に対して脆弱であり、脳血管障害や脊髄損傷などにより深刻な打撃を受けます。傷害による神経細胞の死滅、神経細胞死を免れたとしても軸索の損傷により神経回路は破壊され、運動麻痺などの生涯にわたって日常生活に支障をきたす重い障害を残します。損傷を受けた中枢神経機能の回復を図る治療法は未だ確立されておらず、有効な治療法の開発が望まれています。そこで、この状況を鑑み、当社においても取り組む意義のある領域と考えております。


生物化学講座分子生物学では、中枢神経損傷後の軸索再生と神経回路の再編成を目指し、軸索再生阻害因子とその受容体、切断軸索の変性メカニズムに関する研究が行われています。生物化学講座分子生物学で得られたこれらの知見を基に、当社と特定の酵素選択的阻害剤の創出に向けた共同研究を実施いたします。


中枢神経損傷後の運動機能の回復には、神経細胞の可塑性変化や既存神経回路の代償性変化による新たな神経回路の再編成が必要と考えられています。中枢神経系の損傷部においては軸索の再生を阻害する様々な因子が存在しており、その中でも、特定の酵素は損傷した神経細胞において直接的に神経修復を制限しています。選択的阻害剤によってこの酵素の働きを抑制することで、神経回路の修復が促進され、損傷による運動機能障害からの回復に繋がると期待されます。


当社は名古屋大学内に「ラクオリア創薬産学協同研究センター」を設置し、名古屋大学における研究成果を基にした産学連携活動を推進しています。門松健治教授ならびに生物化学講座分子生物学の最先端の研究成果と、当社及び同センターがこれまで培ってきた創薬研究のノウハウを融合し、画期的な新薬の創出を目指してまいります。


以上