このたび、当社のサブライセンス先であるLaboratorios Carnot(本社:メキシコ・メキシコシティ、以下「Carnot社」)が、当社がHKイノエン社に導出した胃食道逆流症治療薬tegoprazan(韓国販売名(韓国登録商標):K-CAB®、以下「tegoprazan」)につきまして、メキシコにおいて製品販売を開始いたしました。

 

Tegoprazanは、当社が創出したカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium Competitive Acid Blocker:P-CAB)と呼ばれる新しい作用機序の胃酸分泌抑制剤です。P-CABは、胃食道逆流症治療の第一選択薬であるプロトンポンプ阻害剤(PPI)とは異なるメカニズムで、PPIよりも速やかに、かつ、持続的に胃酸分泌を抑制するという特長を持つ新世代の治療薬です。
当社は、HKイノエン社との間で、tegoprazanの開発・販売及び製造の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結しております。Tegoprazanは、HKイノエン社により販売名「K-CAB®」として2019年から韓国で販売されており、2022年の韓国国内売上(院外処方実績)は1,321億ウォン(約132億円/1韓国ウォン=0.10円)となっております。

 

メキシコにつきましては、2019年、HKイノエン社はCarnot社との間でメキシコを含む中南米17カ国を対象としたサブライセンス契約を締結しました。2023年2月、Carnot社はメキシコの規制当局(Comisión Federal para la Protección contra Riesgos Sanitarios (COFEPRIS))より、びらん性胃食道逆流症をはじめとする4つの適応疾患に対する販売承認を取得しました。その後、Carnot社は製品発売に向けた準備を進めておりましたが、今月11日から販売名「Ki-CAB®」として販売が開始されました。今回のメキシコでの販売開始により、tegoprazanが販売されている国は、韓国、中国、モンゴル、フィリピンおよびメキシコの5カ国となりました。

 

現在、メキシコを含む中南米17カ国における胃酸分泌抑制剤の市場規模は約570億円であり、Carnot社によればメキシコでは4,000万人以上の人々が胃炎、胸焼け、酸逆流に苦しんでいるとのことです。同地域での胃食道逆流症の治療には主にPPIが用いられていますが、十分な胃酸分泌抑制の効果が得られるまでに数日を要することや夜間の胃酸分泌の抑制が十分でないことなど、PPIを用いた治療の限界が指摘されています。Tegoprazanは、初回の服用から30分以内という短時間で効果を発揮する上、1日1回の服用で効果が持続するため夜間の症状にも有効という優れた特長を持ちます。
今回のKi-CAB®の発売以前にこれらの地域で販売されているP-CABは無く、tegoprazanが新たな選択肢として胃酸分泌疾患に苦しむ患者さまに新たな治療選択肢となることが期待されます。Carnot社は、現在、メキシコにおける消化性潰瘍治療剤市場におけるトップメーカーであり、その優れた営業力により市場シェアを順調に獲得することを当社は期待しております。なお、当社は、HKイノエン社とのライセンス契約に基づき、HKイノエン社がCarnot社から得る収益の一定割合を受け取る権利を保有しております。

 

当社は今後も引き続き、HKイノエン社との連携をより強固にし、開発支援並びにサブライセンス契約支援を継続して実施し、胃酸関連疾患治療の選択肢を広げることで、患者さまのQOLの向上に一層貢献できるよう努めてまいります。

以上

<ご参考>

P-CABウェブサイト(スペイン語):https://www.vidasinreflujo.com.mx/