この度、名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座(消化器内科学分野)の藤城光弘教授が研究開発代表者を務める研究開発課題「国産既存薬の新効能による膵がんの間質初期化治療法の開発と第I/II相医師主導治験の実施」が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の臨床研究・治験推進研究事業の「2-② 医師主導治験(新効能医薬品、または新用法・用量医薬品)」に採択されましたのでお知らせいたします。

今回採択された医師主導治験では、膵がんの革新的な治療法として当社連結子会社のテムリック株式会社(以下「テムリック」)が権利を有するタミバロテン(AM80)が国産既存薬として使用されます。当社及びテムリックは、有償での治験薬の提供を行うとともに、治験薬の安全性情報の入手と提供等を行います。

今回のAMEDの採択により、医師主導治験が順調に進むことで本プロジェクトの実施期間(2021年から2025年まで)である4年間にわたり研究支援(助成金)が受けられる予定です。

膵がんは消化器がんの中で最も予後が悪いがんであり、予後不良の原因として早期発見の難しさとともに抗がん剤抵抗性があげられます。膵がんの最大の特徴は、がん関連線維芽細胞(CAF)が主要な構成要素である間質が腫瘍の約9割を占めることであり、この豊富な間質が原因で抗癌がん剤の浸透が阻害されることで抗がん剤抵抗性が起こっております。
これに対して、名古屋大学医学系研究科腫瘍病理学の榎本 篤教授らは、これまでのモデル動物等を用いた研究において、タミバロテンを投与することによりがん促進性CAFをがん抑制性CAFに初期化(形質転換)することで間質の性質を軟化させることができることを見出しております。これにより、膵がんにおける抗がん剤治療の最大のボトルネックである抗がん剤抵抗性を改善することが期待されております。

当社及びテムリックは、名古屋大学の藤城教授が中心となって実施する医師主導治験にできる限りの協力を行うとともに、これまでに得られたタミバロテンの知見を活かし、本プロジェクトを含むタミバロテンの価値最大化に向けた各種施策を検討し実行してまいります。


以 上

<ご参考>
採択結果につきましては、AMEDのホームページをご覧ください。

令和3年度 「臨床研究・治験推進研究事業(1次公募)」の採択課題について(2021年3月8日公開)

●採択カテゴリー
「患者のニーズに応える医薬品開発に資する臨床研究・治験の推進」
→ 2「既に作成済みのプロトコル(又はプロトコル骨子)に基づいて実施する医薬品に関する臨床研究・医師主導治験の推進【実施(ステップ2)】医師主導治験(新効能医薬品、または新用法・用量医薬品)」
→ ③ 医師主導治験(新効能医薬品、または新用法・用量医薬品)

●研究開発課題
「国産既存薬の新効能による膵がんの間質初期化治療法の開発と第I/II相医師主導治験の実施」

●代表機関・役職・研究開発代表者
名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座(消化器内科学分野)
藤城 光弘 教授

●研究開発担当者 ※当社関係者のみ抜粋
ラクオリア創薬(株)取締役副社長執行役員 渡邉 修造
テムリック(株)相談役 浴本 久雄