当社は、この度、名古屋市立大学医学研究科細菌学分野の長谷川忠男教授と、マクロライド耐性型A群レンサ球菌に対する新たな治療薬の創出に向けた初期探索研究を開始しましたのでお知らせいたします。 

A群レンサ球菌(streptococcus pyogenes)は、レンサ球菌属に属するグラム陽性球菌です。小児の急性咽頭炎の主要な起炎菌であるとともに致死率の高い劇症型感染症*1(以下「STSS」)など多彩な感染症を引き起こします。

STSSの報告は年々増加傾向にあり、治療には種々の抗生物質が用いられますが、A群レンサ球菌においてはマクロライド系抗生物質に対して耐性を持つ、マクロライド耐性型A群レンサ球菌の出現が報告されています。

長谷川忠男教授らは、マクロライド耐性型A群レンサ球菌のマクロライド耐性克服のための研究に取り組んでおり、耐性に関与すると考えられる遺伝子をノックアウトした菌株を独自に樹立しています。このノックアウト菌株を用い、耐性機序に基づいた化合物スクリーニングを行うことで、マクロライド耐性を抑制できる化合物を見いだせると期待できます。

当社は、長谷川忠男教授らが保有する最先端の研究成果と、当社が有する幅広い創薬研究の経験を融合し、産学連携の下で創薬研究を加速することにより、薬剤耐性を克服する新たな治療薬の創出を目指します。

以上

【ご参考】

*1<劇症型感染症(STSS: streptococcal toxic shock syndrome)について>

主にA群レンサ球菌により引き起こされる感染症であり、壊死性の筋膜炎をはじめとする全身性の重篤な病態を引き起こします。患者の約30%が死亡しており、極めて致死性の高い感染症です。